言葉より大切なもの

友達が結婚する

ソファーを背もたれにして、二人並んで、まったりしていた時、この事実を、さらっと告げてみた。

勘がいい彼に、あれこれ悟られないように。

おめでたいね〜

いつからの友達?

どんな子なの?

私がちょっと話したことに対して、興味を持ってあれこれ質問してくれて。

真剣に話を聞いてくれる。

そんなところも、本当に大好き。

友達の結婚は、本当に嬉しいし、幸せになってね、と心から想う。

でもね。

ちょっぴり顔を出す、不安。

私は、私たちは、と。

あのねー、このカップルね、すごいラブラブなんだよ

毎日、お互いに好きとか愛してるとか言い合ってるらしい!

これも、さらっと言ってみた。

へぇー!それはすごいなぁ

目をくりくりさせて、彼は答えた。

そう。

彼からの愛の言葉は、滅多にない。

照れ屋さんなのは、十分わかってるし、愛の言葉なんかなくても、日の彼の態度、表情や仕草から、すべて伝わる。

でもね。

でも、今日は何かダメだ。

言葉が欲しくて、たまらない。

隣に座る彼の肩に、頭をコツンとぶつけて、そのまま停止。

ん?

顔は見なくても、どんな表情をしてるかはわかる。きっと、優しい顔をして、私を見てるんだ。

翔ちゃん

なに?

好きだよ

真っ直ぐ前を向いたまま、告げた。

私も、そんなに頻繁に伝えるわけじゃない。

言う時は、半端なくドキドキする。

今だって、そう。心臓の音がうるさい。

翔ちゃん、早く何か言って?

私の頭を、大きな手で優しくポンポンとして、それから髪を優しく撫でてくれた。

思い切って彼の顔をみると、やっぱり優しい顔をしてる。

翔ちゃん

もう、わかってしまっているよね。

私が言葉を欲しがっていること。

ちょっぴり困ったような顔をして、笑ってる。

ああ、困らせてる。

手の平から、指先から、表情から、すべて伝わっているのに。

言葉にこだわって、困らせてる!

ごめん翔ちゃん困ってるよね?

いろんな想いが溢れて、同時に涙も溢れた。

志帆?

優しく名前を呼んでくれて。

俯いてる私の頬を、両手で包み込んでくれた。

志帆が謝ること、何もないよ

こっち、見て?

ゆっくり顔を上げる。

翔ちゃんの両手は、頬に添えられたまま。

好きだよ

私の目を見て、ハッキリ言ってくれた。

俺は、志帆が好き

優しいのに、力強い眼差しで、ちゃんと伝えてくれた。

好きで好きで、どうしようもなくて、正直、感情のコントロールに必死な時もあるし

眉を下げて、困ったように笑う。

涙が溢れて止まらなかった。

何か言わなきゃと思うのに、できない。

いつも言えなくて、ごめんな。何かこう照れくさいというか

いろいろ不安にさせちゃってるかもしれないけど、とにかくずっと一緒にいたいのは、志帆だけだからさ

ん。わかってるよ、翔ちゃん

それだけ言うのが精一杯で、翔ちゃんにギューッと抱きついた。

翔ちゃんも、ギューッと抱きしめてくれた。

翔ちゃんの匂いに包まれているうちに、少しずつ落ち着いていくのがわかった。

あー!!

突然の大きな声。

な、何!?

私から離れて、両手で顔を隠す翔ちゃん。

もう、無理!恥ずかしい

え?

何か、可愛いんですけど。

本人には言えないけどね。

もーう!翔ちゃん、ムードぶち壊しなんだけど!

あ。ごめん

この後は、二人で爆笑。

あのさ

ん?

ぶち壊しついでに、もう一個いい?

上目遣いで、こっちを見てくるから、もうキュンが止まらないよ。

腹減ったんだけど

え?それ!?

もう、あなたにはかないません!

思わず笑っちゃう私。

つられて笑うあなた。

ホント、しょうがないなぁ。急いで作るね笑

ん。ありがと

あなたがそばにいてくれる奇跡。

あなたが私を好きでいてくれる奇跡。

この奇跡を大切に大切に、守っていこう。

あ、でもね。

たまーに、たまにでいいから。

愛の言葉をくださいね。

照れちゃう、可愛いあなたが見たいから。

なんてね。